私の徒然草 第2話 「夕焼け・一日に感謝」
私たち夫婦の武蔵野農園は自宅から自転車で片道、約20分間の距離にある。往復で40分。今は雨が降らないため、いつも使っている農園の近くの湧き水は涸れているため、農園で使う水は全て大きなペットボトルに詰めて自転車で運んでいる。武蔵野農園の畝では今、小松菜、ホウレンソウが収穫期を迎えた。冬越し野菜の玉ねぎは元気良く葉を伸ばしはじめている。イチゴは寒さに耐えて真ん中から緑の葉が出てきている。先週はジャガイモの植え付けをした。今年は早めの植え付けとなった。全部で3畝。ジャガイモはもう少し畝を増やして植え付ける予定だ。そして今週はツル葉を伸ばしてきたスナップエンドウのために支柱を立て、ネットを張った。そして水やり。
吹き曝しの、冬の寒さの中で、根を伸ばし、成長している野菜たち。思わず野菜たちに声をかけたくなる。そして今年は2月、3月と雨の日が少なく、土も乾燥している。自然は恵みの源であるが、また一方で厳しい。そのようなハウス栽培ではない自然環境そのままで育ってきた小松菜、ビーツ、ほうれん草が皿に入って我が家の食卓に並ぶ。ゆでただけの野菜に胡麻タレをかけて食べる時、何か野菜の生き抜くパワーも一緒にもらっているような気がする。仕事中心の毎日を送っていた70歳以前は、食事も味わうというよりも健康のため食べるという意識が強かった。食事に集中していなかった。そして夫婦の会話は大体、食事の時が多かったが、家内の話もちゃんと聴いていなかった。今は食事を調理してくれた家内に、そして平安な気持ちで食事できることに感謝して味わいつつ食べることができるようになってきた。70歳も半ばを過ぎて、80歳近くになってやっと自然な気持ちで、家内の言葉に耳を傾け、聴いている。平凡なことかもしれないが、これも幸せな人生の一つ、大きな部分ではないかと思う。
現在、私は半農半Xの生活を送っている。午前中は仕事、私のライフワークの屋上菜園関係のマネジメントと事務処理、地方創生のための日本型ビジネスモデルの実施活動。午後は武蔵野農園。1週間のうち、大体月、火、金はこのパターンだ。昼食後から夕方迄武蔵野農園で農作業。水木、土は外出し、都内(北千住、押上、入谷、お茶の水)の屋上菜園に行き、栽培作業・指導をしている。現在嬉しいことに屋上菜園の仕事が増えてきている。今年の4月からは渋谷のオフイスビルの屋上菜園の栽培作業が始まる。武蔵野農園での作業を終えて帰宅する際、荒川の支流、柳瀬川の舗装された堤を走る。行く手には夕焼けが空を大きく染めている。一日の活動に太陽が「今日も一日ご苦労様でした」と人間たちに言ってくれているかのようだ。朝があり、夕がある。一日一日が与えられていることに大いなる方による摂理を思わず感じにはいられない。川の向こう側に教会の十字架が見える。夕空を背景にくっきりと聳えている。
毎日、日記を書いているが、寝る前に今日一日を無事に送れたことを、そして今日会った人に感謝しつつ、小さなことから大きなことまで、書き留めている。明日もまた元気に一日を始めることができるように、歩み抜くことができるように・・・と祈りつつ。
(了)
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