時代小説「欅風」(13)新之助 郷助と炉辺話その二
炉辺での食事の後、お茶を飲みながら、郷助は語り始めた。 「近頃江戸には諸国からどんどん人が集まってきています。諸国から江戸詰めのお侍、普請のための人夫、それを目当てにした物売り。お侍、町人が使う料亭で働く者達。大変な勢いですだ。そこで最近では青物もいろいろな場所で市が立つよ...
時代小説「欅風」(12)新之助・才蔵 郷助と炉辺話その一
青物組の新之助と才蔵の二人に郷助から、青物、土物の栽培について話したいことがあるので、家にお招きしたいとの申し出があった。 新之助は組頭の高田修理に許可を求めた。修理は「良く話を聞いてくるのだぞ」すぐに許可を出した。 翌日昼頃、郷助は下屋敷迄迎えに来てくれた。...
時代小説「欅風」(11)波江・身辺変化その二
二週間後、やっと床払いができた。まだ少しふらふらしたが、波江はまず母屋に挨拶に行った。「お陰様で元気になりました。何とお礼を申し上げたらいいのか・・・、本当にありがとうございました」 菊枝がいた。「まだ病み上がりなんだから、無理をしてはいけねえだよ」...
私の徒然草 第5話「屋上菜園はチャレンジ・スピリットで」
都市部で屋上菜園が増えてきました。また屋上菜園で野菜を栽培したいという人も増えつつあります。ところで都会で仕事をしたり、生活している市民は屋上菜園についてどのような具体的イメージを持っているのでしょうか。大部分の人は屋上だから重い土は使えないし、やるとしても屋上にプラスチッ...
時代小説「欅風」(10)波江・身辺変化その一
ここ暫く頑張りすぎたのかもしれない。その疲れに風邪が加わったのだろう、波江は寝込んでしまった。何とか起き上がって出かけようとしたが身体がいうことをきかない。諦めて泣く泣く花橘には使いをやり、暫くお休みを頂く旨伝えさせた。三福にも同じく使いをやって休業の看板を下げてもらった。...
時代小説「欅風」(9)お江戸建設
慶長八年、家康は江戸の町作りに本格的に着手した。神田山を切り崩し、日比谷入江を埋め立て、日本橋が架けられた。全長百七十尺弱の中央が高い橋で、そこからは江戸城が一望できた。また晴れた日には、はるか富士山を眺めることができた。翌九年には日本橋が五街道の起点となった。...