

時代小説「欅風」(3)青物組相手・木賀才蔵
青物組は二人一組で農作業をするきまりだ。新之助の相手が木賀才蔵なのだが、才蔵は近頃気の病というか、元気がない。時々「自分は生きていてもしょうがない」とか「死にたい」と口走ることがある。鬱々としているが、かと言って寝込む程ではない。下屋敷の勤めは国許と違い、出殿勤務と留守居勤...
私の徒然草 第4話「高齢期こそ肯定感を持った生き方」
人によってそれぞれの生き方があるが、私が今心掛けていることは、自分の人生にかかわること、また私の人間関係の中で、全てのことに肯定的に対応するということだ。肯定的とは批判的、否定的に対応するのではなく、ありのままに肯定的に受けとめ、前向きに対応するといったら良いだろうか。キッ...


時代小説「欅風」(2)初物
「三福」の暖簾を潜り、店に入ると、まだ時間が早いせいか、女将の波江が大皿に料理を盛り付けていた。「いらっしゃいませ。戸部様。今日は少し早いですね」波江は明るく微笑んで、新之助に視線を送った。 「今日は気分を変えたくてね。お勤めはそこそこで切り上げて、大川の堤を歩いて川風に吹...


時代小説「欅風」(1)青物侍
戸部新之助は夕暮れの風が吹き始めた大川の堤を高ぶった感情を冷ますかのように歩いていた。薄暮の景色の中、堤の下に並ぶ店先に橙色の提灯が下げられ、夜の賑やかさが漂い始めている。 (なぜ自分はいつも評定の時に余計なことを言ってしまうのだろうか。あのようなことを言ったために皆の不興...


時代小説「欅風」まえがき
江戸時代は士農工商の時代でしたが、武士が江戸の下屋敷で野菜栽培に関わっていた、という話を何かで知りました。当時私は会社経営という実業の世界から身を引いて、気分転換も兼ねて家の近くの畑を借りて、農作業をしていました。農作業をしながら、江戸下屋敷の武士はどんな気持ちで農作業をし...


【事例紹介】菜園紹介動画を公開しました
東京都墨田区押上「ケアハウスこまち墨田館」の屋上菜園での活動を紹介する動画を公開しました。
私の徒然草 第3話「高齢者の高まる感受性」
齢を取ると段々身体が弱っていき、あちこちに故障個所が増えてくる。夜、風呂に入り自分の身体をしみじみと見ながら、80年近く頑張ってきた身体に思わず感謝の言葉をかける。「今迄の人生、いろいろなことがあった。死にたくなることもあった。そして大きな病気にもならず何とか生き抜いてこれ...
私の徒然草 第2話 「夕焼け・一日に感謝」
私たち夫婦の武蔵野農園は自宅から自転車で片道、約20分間の距離にある。往復で40分。今は雨が降らないため、いつも使っている農園の近くの湧き水は涸れているため、農園で使う水は全て大きなペットボトルに詰めて自転車で運んでいる。武蔵野農園の畝では今、小松菜、ホウレンソウが収穫期を...
私の徒然草 第1話「屋上菜園は小さな仕事」
屋上菜園の仕事をしている。始めてからもう18年になる。いつの間にか18年間が過ぎ去っていったというのが実感だ。長い期間だったようにも思うが、アッと言う間のような感じもある。まさに人生は「束の間」かもしれない。 さて屋上菜園の仕事はいわば「小さな仕事」だ。経済社会を賑わしてい...
「場の生み出すコミュニケーション」・屋上菜園の場合
最近本屋に行って目につくのは話し方と聞き方について書かれた本が沢山出ていることです。現在の新型コロナウイルス禍の中で人々が孤立し、人と人とのつながりが希薄になり、断ち切られていくような不安感、さらには危機感も感じさせられます。と同時に、裏返してみれば人と人とのコミュニケーシ...
